
上の写真は、イスラエルの位置を表わす地図です。ヤフーの「イスラエルの地図」を利用させてもらいます。よろしくお願いします。私は、今回のブログでは、イスラエル国内の「政治」、トランプのMAGA政策の誤り、イスラエル・米国によるイランの核関係施設への攻撃の3点について、書きたいと思います。
まずは、イスラエルの国内政治についてです。私は、これまでも、イスラエルの、対ガザ、対ヨルダン川西岸等への「政策」を批判してきましたが、言わば、イスラエルの軍事行動等の現象を見ての、即物的な批判に過ぎませんでした。つまり、イスラエルの政治体制の理解もないままに、批判してきました。しかし、イスラエルについて、少し調べてみようという気になり、たまたま、ヤフーへのある寄稿に気づきました。東洋経済オンラインでの、元東洋大学教授、薬師寺克行氏の寄稿です。ここでは、氏の寄稿を参考にさせてもらい、イスラエルの国内政治の状況について、書いてみます。
イスラエルは、1948年の国連総会において、建国が承認されました。しかし、建国早々から、周囲のアラブ諸国から、建国に反対され、たびたび中東戦争と言われる戦争が起こりました。ここでは、それらには、触れないことにします。イスラエルの地には、多くのパレスチナ人が住んでいましたので、イスラエル人とパレスチナ人との関係には、難しい点がありました。建国から約30年。当時、政権を維持していた左派の労働党のラビン首相は、ヨルダン川西岸とガザに、暫定自治政府を置く「オスロ合意」によって、難点の解決を図ることにしました。ユダヤ人国家とパレスチナ人国家が並立する「二国家」の制度でした。(ただ、イスラエルの人口は、ガザとヨルダン川西岸のパレスチナ人も含めると約1800万人となり、ユダヤ人が約900万人、パレスチナ人も約900万人になるというのです。)
ところが、この折角の「合意」以後、ラビン首相は暗殺され、左派勢力も衰退していきました。そして、ガザやヨルダン川西岸のパレスチナ人は、全く無視される政治が行われるようになっていきます。現在の首相、ネタニヤフは、右派政党「リクード」の党首であり、すでに16年も首相を務めているそうです。ネタニヤフの政権は、2018年に「基本法・ユダヤ人国家法」を制定しています。その中では、イスラエルは、ユダヤ人の民族国家であり、自決権の行使は、ユダヤ人のみによって行われるとしています。パレスチナ人については、何も書かれていません。また、ヘブライ語を唯一の公用語とし、アラビア語は、公用語から外しました。
ネタニヤフは、2022年12月に「第6次政権」を発足させました。そこには、極右政党の「宗教シオニスト党」や「ユダヤの力(ちから)」などが、加わっています。この政権は、「司法制度改革」に力を入れたそうです。最高裁の判決であっても、国会の過半数の賛成があれば、覆すことができ、最高裁の判事の任命にも、政府の権限を強めるようにしたのです。こうした動きに対しては、さすがに批判も起こるようになりました。また、汚職容疑で起訴されているネタニヤフの「有罪」を避けるための策謀だなどという批判も起こりました。しかし、2023年10月7日に、ハマスによる大規模テロが起こると、政府批判は全く消えてしまったそうです。
ハマスを壊滅させるという政府方針が取られ、イスラエル軍によるガザへの空爆、地上攻撃が始まりました。また、ヨルダン川西岸のパレスチナ人への攻撃なども増えていきました。ガザへの空爆、地上侵攻にしても、ハマスが現れるわけではありません。ハマスの兵等がいそうな場所が、次々と攻撃されるのです。イスラエル軍は、民間人にも攻撃を加えます。批判されても、ハマスがいたからだとか言い訳をして、悪びれる素振りなどは見せません。現在では、ハマスも含めて、ガザの死者は、5万5千人を超えているでしょう。
ハマスの大規模テロは、批判されるのは当然ですが、イスラエルは、ユダヤ人とほぼ同数のパレスチナ人には、全くの差別政策を採っています。イスラエル政府(同調するイスラエル人も)は、現代の世界ではあり得ないと言える、差別、弾圧をおこなっているわけで、厳しく批判されなければなりません。
最近読んだ、ヤフー内のある記事によると、米国には、ユダヤ人の行為には、何事であっても、賛成、支持するキリスト教福音派の人たちが、およそ5000万人いるということです。ですから、米国の政治家、資産家なども、ユダヤ人を支持する者が多いのでしょう。(ただし、5000万人というのは、実態ではなく、他の資料等を見ると、もっとずっと少ない数になるようです。)
次は、トランプのいわゆる「米国を再び偉大に」の主張について、いくつかの誤りがあるということについて書きたいと思います。25日の毎日新聞、1面、4面に、東京大学名誉教授、岩井克人氏の、「混迷する世界を語る」というテーマへの寄稿が載せられています。私などには、たいへんに難解な寄稿なのですが、おそれながら、参考にさせていただきたいと思います。トランプは、ラストベルトの労働者が職を失ったりして、生活が苦しくなったのは、草の根の声を無視してきた民主党系エリートの責任だとしていますが、これは、誤りだと、氏は、指摘します。民主党系のせいではなく、ITバブルの崩壊、リーマンショックがひきおこした不況の中で、ラストベルトの悲惨が生じたというわけです。また、トランプは、国際収支の赤字は、自由貿易体制を支えてきた米国が、他国に搾取されてきた証しだと繰り返しますが、全くの誤りだと、氏は指摘します。この赤字は、ドルが基軸通貨であることの算術的な必然だとします。さらに、トランプは、外交や軍事でも、米国が、他国に多くのものを与えてきており、そのために、米国は大きな赤字を負ってきたのだといいます。米国が支えてきた自由貿易、協調外交、集団安保をご破算にして、各国と個別に交渉するようにすれば、「米国を再び偉大に」にすることができるというのです。 岩井氏は、この主張も、愚かで、基軸国である恩恵を失わせ、米国を衰退させるとしています。ほかにも、多数決を原則とすれば、米国の白人男性は、やがて主導権を失うことになるが、その前に、彼らの優位性を確保するためにも、トランプを背後で操る者がいるのだと、氏は続けます。(岩井氏の指摘等につきましては、そのまま、書かせていただきました。もとより、私には、氏のご指摘について検討する力はありません。)
以上のように、トランプの主張には、誤りや勘違いなどが目立ちます。自尊心が強いのか、自分は何でもよく分かっているとでも思うのか、周囲からの進言、助言等も受けようとしないようですが、誤りや勘違いが多くては、本人だけではなく、共和党、米国等々の恥にもなります。副大統領、国務長官、国防長官等も、トランプには言いなりのようですが、もっと進言などもして、トランプの誤りなどを減らしていくべきでしょう。
最後は、イスラエル、米国によるイランへの攻撃についてです。米国は、イランの核開発について、これまでイランと交渉をしていました。イスラエルは、交渉などはせず、イランの核関係の動きを監視してきました。そして、イスラエルは、13日、イランが核兵器を造ろうとしているとして、イランの核関係の場所への空爆を開始しました。私は、前回のブログでも書きましたが、イランの現有戦力では、イスラエルの飛行機を撃墜することはできません。戦闘機による迎撃も、高射砲等による迎撃もできないようです。ですから、イスラエル空軍は、思い通りに空爆ができるわけです。イスラエルの攻撃は、国際法違反とされますが、現在の国連、安全保障理事会は、ロシアのウクライナ侵攻を止めさせることもできませんし、イスラエルのイラン空爆をやめさせることもできません。安全保障理事会は、空爆等を国際法違反と決めて、批判することは可能ですが、常任理事国の拒否権の発動により、決議等もほとんどできません。ですから、イスラエルのように、思いのままに他国に侵入し、核施設等を攻撃することができてしまうのです。核施設関係への攻撃も、国連では、禁止としていますが、イスラエルなどは、全くそれらを無視し、攻撃をしているのです。そして、イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラエルの空爆では、地下深くの核施設は、破壊できないので、米国のトランプに、「協力」を要請したわけです。イランとの交渉は、中断していましたが、トランプは、空軍を動かし、いわゆるバンカーバスターを使用させたのです。イランでは、バンカーバスターの攻撃を予想していたようで、前以って、他の場所に核関係の物を移したようですが、トランプは、「完全に破壊した」などと叫んでいます。
トランプは、その後、イランに停戦を求めました。勝手に、核施設を破壊しておきながら、図々しい要求だとも思えますが、とにかく、イランとしては、米国、イスラエルの戦力には、立ち向かうことができないのですから、停戦に応じるしか選択肢がないのです。イランは、米国やクウェートに、予め通告しながら、クウェートの米軍基地にミサイルを撃ち込みましたが、勿論、被害はありません。イランは、停戦違反として、イスラエル、米国から攻撃されることを恐れながらも、言わば、「アリバイ的に」、ミサイルを発射し、抵抗したことを示したかったのです。
イラン首脳は、まさに断腸の思いで、ミサイルを発射したのでしょう。戦力の違いは、イランに対して、かくまでも「情けない対応」をさせることになるのです。
イスラエル、米国は、核保有国です。イスラエルは、核不拡散条約(NPT)については、非締約国であり、言わば「もぐりの核保有国」なのです。その国が、国際法違反の攻撃を行い、おまけに、米国に協力を求め、さらに米国は、応じているのです。核保有国、大国は、まさに思い通りの動きが可能です。戦力ではかなわないイランのような国は、「無念の対応」をするしか、術はないことになります。日本は、米国の「同盟国」ですから、攻撃される心配はないようですが、トランプなどは、同盟国であろうが、同じ側の国であっても、怒れば、空爆くらいやりかねないのではないでしょうか。いやはや、情けない。私などは、一介のブロガーに過ぎませんから、トランプに狙われることはないでしょうが、やるのならやるぞ、と言っておきたいと思います。
国内のパレスチナ人弾圧を続け追い出すつもりのイスラ
政府だけ悪いのでなくイスラエル「普通の人」も大悪人だ
迫害や差別を受けて来たけれど今は居直り戦争国に
トランプが自分の「知識」だけにより「政策」決める世界の悲劇
共和党こんな男に支配され恥じゃないのか米国も恥
東京は税がいっぱいカイロ大卒業生に寄付をさせれば
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